中高生の頃の私は、理由もなく父親が嫌だった。
父親が用を足す時、ドアを少し開けているだけで当時の私はたまらなく不快になり、ドアを思いきり閉めたものだ。
社会人になって、ある日母にその日のゴルフの話をしながら、トイレの前を通るとやはりドアは少し空いている。 「おじさんなんだから、トイレくらいちゃんと閉めなよ」と笑いながらそっと閉める。
母が言った。「それはあなたが小さい時、どこにでもついてきて、トイレに入れて欲しいと泣いたから、私たちについた癖なんだよ」